「良い会社があれば転職を考えたい」と感じながらも、みずから転職活動には踏み出していない人材は、労働市場に数多く存在します。こうした「転職潜在層」と呼ばれる人材は、求人サイトへの登録や応募をしないため、従来の採用手法だけでは接点を持てません。人材の流動性が高まる一方で採用競争も激化する中、転職潜在層へどうアプローチすべきか頭を抱える採用担当者の方も少なくないでしょう。
この記事では、転職潜在層にアプローチが必要な理由や具体的なアプローチ方法のほか、採用を成功させるポイントを解説します。
<この記事でわかること>
- 転職潜在層と転職顕在層の違い、企業が注目すべき理由となる調査データ
- 転職顕在層のみを狙う採用が消耗戦になりやすい理由と、能動的アプローチが必要な背景
- ダイレクトリクルーティングやSNS、オウンドメディア活用など、具体的なアプローチ方法
- カジュアル面談の活用や連絡頻度の見極めなど、採用へ導くための3つのポイント
Index
転職潜在層とは、将来的に転職の可能性がある層のこと
転職潜在層とは、今すぐ転職したいわけではないものの、より良い条件や環境があれば転職を検討する可能性がある層のことです。「市場価値を知りたい」「やりがいのある仕事に挑戦したい」「自分に合う企業文化を求めている」といった、漠然とした転職意欲を抱えている点が特徴といえます。
一方、積極的に転職活動を行っている層は「転職顕在層」と呼ばれます。転職顕在層はみずから求人サイトへ登録し、応募や面接に動く人材です。それに対して転職潜在層はみずから求人を探さないため、企業から情報を届けない限り接点は生まれません。
こうした転職潜在層の存在感は、調査データからも明らかになっています。Sansanの「AI時代の転職・キャリアに関する実態調査」によると、積極的に転職活動を行っている転職顕在層は約8%にとどまる一方、転職に関心はあるものの活動していない転職潜在層は約55%にのぼるとされています。
つまり、労働市場に存在する転職意欲を持つ人材の大半は、転職顕在層ではなく転職潜在層が占めているのです。そのため、転職潜在層へいかにアプローチできるかが、今後の採用活動を大きく左右するといえるでしょう。
※出典:Sansan株式会社「Sansan、AI時代の転職・キャリアの実態を調査。74%がキャリアに不安。実は転職に関心がある”潜在層”は55%」
転職潜在層にアプローチが必要な理由
日本では少子高齢化に伴う人口減少により労働力人口そのものが縮小を続けており、同時に転職やキャリアチェンジに対する意識の変化から人材の流動性も高まっています。こうした構造変化により、従来の応募を待つ採用手法だけでは母集団の確保が難しくなっているのが実情です。
だからこそ、企業には転職潜在層へ戦略的にアプローチしていく姿勢が求められています。ここでは、その理由を4つの観点から詳しく紹介します。
<転職潜在層にアプローチが必要な理由>
- 転職顕在層だけでは母数が足りない
- 転職顕在層の採用は消耗戦になりやすい
- 優秀な人材ほど転職潜在層にとどまりやすい
- 企業から動けば、転職意欲を引き出せる
転職顕在層だけでは母数が足りない
転職顕在層は、みずから転職活動を積極的に行っている層に限られるため、そもそもの母数が限られています。数少ない候補者を、多数の企業で奪い合う構図になっているのが現状です。
人口減少が続く日本では、この採用競争がさらに激化していくと予想されます。労働力人口の減少は今後も続く見込みであり、転職顕在層だけを頼りにした採用活動には限界があるでしょう。
こうした状況を踏まえ、転職潜在層へのアプローチ基盤を今のうちに整えておけば、優秀な人材との接点を確保しやすくなります。
転職顕在層の採用は消耗戦になりやすい
転職顕在層は複数社に同時応募していることが多く、条件引き上げや内定辞退のリスクが高いという特徴があります。内定を出しても他社に競り負けてしまうケースも少なくありません。
これは、転職顕在層が「今すぐ転職したい」という強いニーズを持っているため、条件面で少しでも有利な企業を選びやすいことが理由です。給与や待遇の引き上げ競争に発展すれば、採用コストがかさむだけでなく、選考プロセスそのものが疲弊してしまいます。
一方、転職潜在層は積極的な転職活動をしていないため、アプローチした時点では競合他社と競り合うケースが少なく、自社の魅力をじっくりと伝えられます。
優秀な人材ほど転職潜在層にとどまりやすい
現職で高い評価を得ている人材や成果を出している人材ほど、待遇やポジションに一定の満足を得ているため、みずから転職活動に踏み出す必要性を感じにくい傾向があります。転職顕在層として市場に出てくるタイミングは、多くの場合、現職への不満が募った後であり、必ずしも優秀層とは限りません。
一方、転職潜在層の中には、現職で実績を上げながらも「今の環境に満足しているわけではないが、あえて動く理由もない」という人材が数多く埋もれています。こうした層は、条件面だけでなく成長機会や裁量といった要素に魅力を感じれば、転職を前向きに検討し始めるケースも少なくありません。
つまり、転職潜在層へのアプローチは、単に母集団を広げるだけでなく、転職市場に出てきにくい優秀な人材と接点を持つための手段でもあるのです。
企業から動けば、転職意欲を引き出せる
企業からの的確なアプローチは、転職潜在層の中に眠る転職意欲を引き出すきっかけになります。転職潜在層の多くは「良い会社があれば」という漠然とした気持ちを抱えているため、そこに働きかけることで転職を具体的に考え始める可能性があるのです。
例えば、スカウトメッセージやカジュアル面談の案内を通じて「声をかけられた」という体験自体に、候補者のモチベーションを高める効果が期待できます。自分の経歴やスキルを評価されたという実感が、選考参加への後押しになるケースもあるでしょう。
転職潜在層への効果的なアプローチ方法

転職潜在層へのアプローチ方法は複数あり、自社の採用課題に合わせて組み合わせるのが効果的です。具体的なアプローチ方法は以下のとおりです。
<転職潜在層への効果的なアプローチ方法>
- ダイレクトリクルーティング
- SNS・オウンドメディア活用
- タレントプールの構築
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、転職サイトのデータベースやSNSから自社にマッチする人材を探し出し、直接スカウトメッセージを送る採用手法です。積極的な転職活動をしていない転職潜在層にも接点を作れる点が強みといえます。
ただし、画一的なテンプレートメッセージは敬遠されやすい傾向があります。候補者の経歴や実績のどこに魅力を感じたのかを具体的に伝え、パーソナライズしたメッセージを送ることで、返信率が高まるでしょう。
とはいえ、候補者一人ひとりに合わせたスカウト文を手作業で作成するのは、採用担当者にとって大きな負担となります。こうした課題を解決するために役立つのが、AIスカウトツールです。「XAION DATA」が提供する「XAION HR」は、高度なAIが候補者のプロフィールを瞬時に分析し、個別性の高いスカウト文の作成をアシストします。これにより、担当者の工数を削減しながら、熱意の伝わる質の高いアプローチを安定して継続できるようになります。
SNS・オウンドメディア活用
X(旧Twitter)やLinkedIn、Instagramなどで社内の雰囲気やプロジェクトの裏側、社員インタビューなどを継続的に発信すれば、求人情報を積極的に探していない層にも自社の存在を認知させられます。
また、オウンドメディアの記事、例えば社員インタビューや技術解説、事業ビジョンなどのコンテンツは、資産として蓄積されていく点が特徴です。自社の事業分野に関心を持つ転職潜在層が、自然に自社の存在を知る接点を作れるでしょう。
SNSとオウンドメディアを連動させれば、認知、興味、関係構築へとつながる採用ファネルを継続的に機能させる基盤になります。日頃の発信によって転職潜在層との接点を積み重ねておくことで、転職ニーズが顕在化したタイミングで自社を思い出してもらいやすくなるはずです。
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タレントプールの構築
タレントプールとは、過去の選考候補者やイベント参加者、問い合わせ者などを人材データベースに蓄積し、定期的なコミュニケーションを通じて関係を維持する仕組みのことです。
一度接点を持った候補者であっても、時間が経てば自社への関心は薄れてしまいます。そのため、近況報告や有益な業界情報を届けるなど、候補者との継続的な関係構築を通じて志望度を高めていくナーチャリングを意識した運用が欠かせません。
こうした関係維持によって、候補者の転職意欲が高まったタイミングで優先的に自社を想起してもらいやすくなります。タレントプールの構築は、中長期の採用安定化に有効な手段といえるでしょう。
採用へ導くための3つのポイント

転職潜在層へアプローチできても、そのまま採用につながるとは限りません。ここでは、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
<採用へ導くための3つのポイント>
- 初めから選考を前提にしない
- 候補者ごとにメッセージを変える
- 連絡の頻度と間隔を見極める
初めから選考を前提にしない
転職潜在層へアプローチする際は、まずカジュアル面談や情報提供から関係構築を始めるのが有効です。「応募してほしい」ではなく、「あなたのキャリアについて話しましょう」というスタンスをとることで、候補者の心理的なハードルを下げられます。
一度の接触で成果を求めようとせず、複数回のタッチポイントを通じて中長期的に信頼関係を築く視点が重要です。カジュアル面談を重ねる中で信頼を積み重ねていけば、結果的に選考への参加を後押しできるでしょう。
候補者ごとにメッセージを変える
転職潜在層へのアプローチでは、候補者の転職意欲の温度感を見極め、段階に応じてメッセージの内容を変える必要があります。転職潜在層といっても、転職への意識の強さは一様ではなく、情報収集段階なのか、具体的に検討し始めている段階なのかによって、響くメッセージは異なります。
例えば、関心がまだ漠然としている層には業界動向やキャリア情報の提供を通じて緩やかに関心を引き出し、具体的な条件面まで意識し始めている層には実際のポジションや条件を提示して背中を押すといった使い分けが有効です。
候補者の状態を見極めずに一律の熱量でアプローチすると、意識の低い層には押し付けがましく、意識の高い層には物足りなく映ってしまう可能性があります。
連絡の頻度と間隔を見極める
転職潜在層への連絡は、候補者の温度感に合わせて頻度や間隔を柔軟に調整することが重要です。転職潜在層は転職を急いでいないため、連絡が過剰になるとかえって印象を悪くしかねません。
初回接触後は数ヵ月に一度、近況報告や有益な業界情報を届ける程度の頻度を基本とし、候補者の返信ペースに合わせて間隔を調整するとよいでしょう。返信の速さや内容から転職意欲の温度感を推測し、連絡頻度を柔軟に見直す姿勢も求められます。
転職潜在層へのアプローチを始めよう
慢性的な人材不足が続く中、市場に自発的に出てくる一握りの転職顕在層だけを狙う採用活動は、激しい消耗戦になりかねません。労働市場の大部分を占める転職潜在層を獲得するためには、企業側から能動的に動いて接点を作り、中長期的なコミュニケーションを通じて口説き落とす姿勢が不可欠です。
転職潜在層へのアプローチを効率化したい企業には、AIスカウトツールが有効な選択肢となります。「XAION HR」は、自社の要件にマッチした候補者をAIが的確にピックアップし、それぞれの経歴に応じたスカウト文の作成から送信までをシームレスにサポートします。採用担当者の工数を抑えながら転職潜在層への継続的なアプローチを実現するでしょう。「自社の採用要件に合う人材がどれくらいいるか知りたい」「スカウトの返信率を改善したい」という方は、ぜひ一度お問い合わせください。
