商談分析の方法|5つの軸で商談記録を整理し、案件横断で比較する

公開:2026.09.30 • 更新:2026.09.30 • 執筆者:XAION Sales編集部

商談の録音や議事録、CRMへの記録は残っている。それでも、「なぜこの案件は進んだのか」「なぜ別の案件は止まっているのか」をうまく説明できないことがあります。
原因は、商談の情報量が足りないとは限りません。商談ごとに記録の形式や粒度が異なり、案件同士を同じ条件で比較できないことが問題になっているケースがあります。
1件の議事録を読み返すことと、複数の商談を分析することは別です。商談分析を行うには、会話や議事録の中から共通する情報を取り出し、案件横断で比較できるデータに変える必要があります。
本記事では、商談分析を進めるために、商談記録を5つの軸で整理し、案件横断で比較する方法を解説します。

<この記事でわかること>
商談記録をそのままでは分析しにくい理由
商談データを整理する5つの軸
構造化すると比較できること
手入力や担当者ごとの解釈への依存を減らし、商談分析を継続する考え方

Index

商談記録は、残っているだけでは分析できない

 1件の振り返りと、複数商談の分析は違う 

商談後に議事録を読み返せば、「顧客がどのような課題を話していたか」「次回までに何をすることになったか」は確認できます。
一方で、「受注した案件にはどのような共通点があったのか」「失注した案件では何が繰り返されていたのか」を知ろうとすると、1件ずつ読むだけでは足りません。
たとえば、50件の議事録に顧客の懸念が文章で残されていても、「価格」「運用負荷」「セキュリティ」などの論点が統一されていなければ、どの懸念がどれくらい発生していたのかを横断的に比較するには手間がかかります。
つまり、情報が残っていることと、分析できることは同じではありません。

分析するには、商談ごとに共通する項目を揃える

複数の商談を比較するには、それぞれの案件について同じ種類の情報を持つ必要があります。
たとえば、「顧客の課題」「関係者」「懸念」「検討条件」「次のアクション」といった項目を共通化すれば、案件Aと案件Bを同じ軸で見られるようになります。
本記事では、このように商談記録の中から共通する情報を取り出し、複数案件を同じ軸で比較できる状態にすることを、商談データの構造化として扱います。
重要なのは、最初から分析手法を増やすことではありません。まず、分析できるデータの形をつくることです。

商談データは5つの軸で構造化する

商談記録に含まれる情報は企業や営業プロセスによって異なりますが、商談を比較するための基本的な整理軸として、本記事では次の5つに分けます。

1. 商談の状態
2. 顧客の課題・検討背景
3. 関係者・意思決定
4. 反応・懸念・検討条件
5. 次のアクション

すべての企業が同じ項目を採用する必要はありません。自社で「案件を比較するときに何を見たいか」から、必要な項目を決めることが重要です。

 

1.商談の状態

まず必要なのは、商談の現在地と結果を表す情報です。
たとえば、商談ステージ、開始日、商談期間、想定金額、受注・失注といった情報です。
これらはCRMやSFAですでに管理されていることも多いでしょう。
ただし、ステージや結果だけでは「なぜそこまで進んだのか」は分かりません。そのため、次の4つの軸と組み合わせて見る必要があります。

2.顧客の課題・検討背景

次に整理したいのが、「なぜこの商談が発生しているのか」です。
具体的には、解決したい課題、検討を始めたきっかけ、実現したい状態、導入希望時期などが該当します。
同じ製品を提案していても、顧客が抱えている課題や検討背景は異なります。
「どの商談が受注したか」だけを見るのではなく、「どのような課題を持った案件が、どこまで進んだか」まで比較するために必要な情報です。

 

3.関係者・意思決定

BtoBの商談では、担当者だけで意思決定が完結するとは限りません。
商談参加者、関係部門、それぞれの役割、意思決定に必要な確認事項などを整理しておくと、案件ごとの意思決定状況を比較しやすくなります。
たとえば、「現場担当者との商談だけが続いている案件」と「利用部門や情報システム部門まで参加している案件」では、同じ商談ステージでも状況が異なる可能性があります。
ここでは、誰がキーパーソンかを判定すること自体ではなく、どの関係者が商談に参加し、意思決定に必要な情報がどこまで確認できているかを残します。

 

4.反応・懸念・検討条件

商談中に顧客から出た質問や懸念も、比較したい情報です。
たとえば、価格、運用負荷、既存システムとの連携、セキュリティ、導入体制、競合との比較などがあります。
「失注理由:価格」とだけ記録すると、案件同士の違いが見えにくくなります。
価格そのものが論点だったのか、費用対効果に関する判断材料が不足していたのか、競合との価格差が論点だったのかによって、検討すべき対応は異なります。
商談中の反応や懸念を一定の粒度で残すことで、同じ論点がどの案件で繰り返されているかを比較しやすくなります。

5.次のアクション

最後は、商談後に何をするのかです。
次回確認する事項、提示する資料、担当者、期限、次回商談の目的などを残します。
商談データは、分析レポートを作るためだけのものではありません。
過去の商談を振り返った結果を、次の営業活動に戻すためには、「次に何を確認・準備するのか」までつながっている必要があります。
たとえば、次のような議事録があったとします。
「9月導入を検討。現場から運用負荷への懸念あり。次回は情シスも参加予定。」
文章のままでも内容は分かりますが、共通項目に分けると次のようになります。

項目

内容

導入希望時期

9月

懸念

運用負荷

関係部門

現場・情シス

次回予定

情シス参加

 

1件であれば、これは単なる情報整理です。
しかし、同じ項目を数十件、数百件の商談で持てれば、「どの条件の案件が進んでいるのか」「どこに同じ懸念が集中しているのか」を比較できるデータになります。

構造化すると、商談の進行・停滞の傾向を比較できる

商談データを構造化する目的は、項目を増やすことではありません。
案件を横断して比較し、営業活動の判断材料を増やすことです。

進んだ商談に共通する要素を比較できる

たとえば、受注または次のステージへ進んだ案件について、顧客の課題が具体化していた、導入希望時期が確認できていた、複数の関係部門が参加していた、懸念事項が一定の段階までに解消されていた、といった情報を比較できます。
ここで注意したいのは、共通点が見つかったからといって、「この条件があれば受注する」とは限らないことです。
商談には企業規模、予算、競合状況、タイミングなど多くの要因が影響します。
構造化されたデータから分かるのは、まず進んだ案件ではどのような傾向が見られたかです。その傾向を仮説として、さらに商談内容を確認していくのが現実的です。

 

案件が止まっている理由を確認しやすくなる

商談ステージだけを見ていると、「提案中」「見積提出済み」といった現在地は分かっても、なぜ案件が動いていないのかまでは分からないことがあります。
そこで、他の項目と組み合わせます。
たとえば、「提案済みだが、意思決定プロセスが未確認」「見積提出済みだが、導入時期が決まっていない」「複数回商談しているが、運用上の懸念が残っている」と分かれば、単に「停滞案件」と扱うより、次に確認すべきことが具体的になります。

 

繰り返される懸念や失注要因を比較できる

失注案件についても同様です。
失注理由を「価格」「競合」「時期」といった大分類だけで終わらせず、商談で実際にどのような反応があったのかまで残しておくと、より細かく比較できます。
たとえば「価格」を理由とする案件の中でも、「予算上限を超えていた」「競合製品との価格差について判断材料が不足していた」「導入効果と費用を比較する材料が不足していた」では意味が異なります。
こうした違いが見えれば、価格そのものを見直すべきなのか、提案時に伝える情報を見直すべきなのかを考える材料になります。

過去の商談知見を、別の案件で活かせる

商談分析の価値は、担当者本人が自分の商談を振り返ることだけではありません。
案件横断で情報が整理されていれば、別の担当者でも、似た課題や懸念があった過去案件で「どの論点が重要だったか」「どの情報を追加で確認したか」「どのような提案材料が必要だったか」を参照できます。
個々の営業担当者の経験に閉じていた知見を、チームで再利用できる形にすることが、商談データを構造化する大きな価値です。

手入力や属人的な解釈への依存を減らし、商談分析を継続する

ここまで整理した項目を実際の営業活動で使い続けるには、商談後の手入力に過度に依存しない運用を検討する必要があります。
分析項目を増やすだけではCRMへの入力負荷が高まり、記録が続かなかったり、顧客対応に使える時間を圧迫したりする可能性があります。
商談中の会話、録音、議事録、メールなど、すでに発生している情報から必要な項目を抽出・構造化し、CRMなどへ蓄積する方法があります。ツールやCRM連携を活用すると、手入力を減らしながら、分析に必要な情報を蓄積しやすくなります。ただし、抽出項目や反映方法、確認フローは利用するツールや設定によって異なります。

顧客とのコミュニケーション記録と解釈を分けて扱う

商談記録を整理するときは、営業担当者の報告だけでなく、顧客との会話やメールなど、元のコミュニケーションを確認できる情報も参照します。
たとえば、顧客が「予算確保は難しい」と発言したことと、営業担当者が「予算はなさそうだ」と判断したことは同じではありません。「競合は検討していない」と顧客が明言した状態と、競合についてまだ確認していない状態も区別する必要があります。
また、商談の状況は時間とともに変化します。初回では導入時期が未定でも、3回目には9月導入希望へ変わることがあります。誰が、いつ、どのように発言したかを確認できる記録と、営業担当者やAIによる要約・判断を分けて持つことで、分析の根拠を確認しやすくなります。文字起こしやAIによる抽出・要約には誤りが含まれる可能性があるため、重要な判断に使用する場合は元の会話や記録を確認します。

ツールとCRM連携で、情報の整理・蓄積を支援する

会話や電話、議事録、メールなどを分析に使える形へ整理する方法の一つとして、ツールを用いて必要な情報を抽出・構造化し、CRMなどへ反映する方法があります。
XAION Sales 商談分析では、会話からのBANT・VOC情報の抽出、会話サマリーの生成、ネクストアクションの抽出などを支援します。また、CRMとの連携により、抽出した情報を営業活動の判断材料として活用できます。対応するCRM、連携項目、反映方法などの詳細は、最新のサービス資料をご確認ください。
商談後の記録作業の一部をツールで支援し、顧客とのコミュニケーションから必要な情報を整理してCRMなどへ蓄積する運用を整えることで、商談分析を継続しやすくなります。
※商談の録音、文字起こし、メールや議事録の保存・分析を行う際は、関係者への通知・同意の要否、利用目的、関連法令や契約、自社の個人情報・機密情報の取扱いルール、利用するサービスの規約などを確認してください。また、AIによる抽出・要約は内容の正確性を保証するものではありません。重要な判断に使用する情報は、元の会話や記録を確認したうえで、適切な権限を持つ担当者が判断してください。

 

XAION Sales編集部

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